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ご挨拶

施設長

「ローリングベッド(有期限入所)」と言う言葉をご存知でしょうか?自分が初めて聞いたのは、もう一〇年以上前でしょうか、毛呂病院光の家療育センターの鈴木郁子先生のお話だったと思います。その当時の自分は、数少ない入所のベッドを在宅の重症児者数人で分け合うものだ、という程度の理解でした。
例えば、一床の入所ベッドを在宅の重症児者六人で分け合うとします。さて、分け合うとは? つまり、一人、一か月間だけ入所します。すると、六人ですから、一年間に一か月間の入所を二回利用することができるんですね。例えば、二月と八月は恵の聖母の家で入所、あとは在宅、というような利用です。ショートステイとは異なり、あらかじめ年間計画をきちんと立てることが可能になります。
今回、日本重症心身障害福祉協会全国施設協議会が大阪でありました。その中で、主催施設の堺市立重症心身障害者(児)支援センターの児玉和夫先生によって「これからの挑戦」と題されたシンポジウムが開かれました。そこに、くまもと江津湖療育医療センターの興梠ひで先生が「ローリングベッドを実践してみて」と報告されました。
ショートステイ(短期入所)と何が違うのか?とは当然出される質問です。ショートステイを一か月利用するのとローリングベッドの一か月の違いは? 以前の自分はその違いがよく分かっていませんでした。しかし、今ははっきりとその違いが説明できます。
それは、「個別支援計画」です。施設を利用される方々が、どういう過ごし方を施設で行うか、それを示した計画があるかないかです。
ショートステイとは、あくまで短期であり、一般的には二、三日間の利用が想定されています。そして、それはあまり計画的ではなく、ご家族などのご都合に合わせて利用されることが多いようです。ですので、そのようなご利用に合わせて「個別支援計画」を立てたところで実行するのは難しく、結局のところ、お預かりに終始することが多くなります。また、本来、ショートステイにはお預かり以上の療育などの機能は求められていないようです。
しかし一か月間であっても、またそれが有期限であっても、入所であれば、当然「個別支援計画」は求められます。例えばその目的が、「安楽に座って食事をする」、であれば、座位保持装置の検討から、座位保持姿勢の維持のためのリハビリテーション、場合によってはその姿勢での嚥下状態の検討のためのX線テレビ(嚥下造影)検査など、お預かり以上のものが当然求められます。ですので、ショートステイとの違いは明らかです。
現在、在宅と入所の間にはいろいろな試みがなされようとしています。ローリングベッドも一か月間の入所体験です。言わば施設へのホームステイです。利用者さんは施設への入所体験、ご家族はお子さんと一か月間離れて生活する体験を味わうことになるでしょう(しかし、毎日面会に来られる方も少なくないそうです)。それ以外にも、グループホームの試みも久山療育園重症児者医療療育センターの宮﨑信義先生から報告されました。
ただ、このような有期限入所は制度的には在宅でなく入所ですから、例えば児童であれば特別扶養手当はその間停止されますし、学校であれば転校の問題もあります。成人であれば生活介護は受けられなくなる、つまり、通い慣れたデイサービスを一か月間休まなくてはなりません。また、先方のデイサービスを一か月後には再度利用できるようにする調整が必要です。そのほか手続き的にも複雑なところがあり、これを簡素にできるかどうかは、どの程度利用者がそのサービスを望まれるか、という熱意にかかっていると思います。
在宅から入所までの間の準備について、最新の知見を仕入れてきました! いいネタあります。自分、佐藤までご相談ください(笑)

施設長 佐藤 圭右